永井博の傘

 

日記、番外編。

最近よく雨が降るので傘をもつわけだけど、たくさんあった傘がいつの間にか減っていき、気づけば永井博のイラストが並んでいるビニールの傘だけになってしまった。アパレルショップ、niko and... が永井博とコラボレーションして様々な雑貨を販売していたときに購入したもの。これははっきり覚えていて、祖母が亡くなって、母が入院して、会社をやめた2019年の5月か6月に購入した。とにかく疲弊していて、でも母の入院している調布の病院まで通わねばならず、お金もなく、ボロボロだったのだけど、たぶん2000円もしないこの傘を買えるギリギリのお金しか財布に入っていなかったのだけど、えいやっと買った。その頃、調布の病院の中庭には見事な紫陽花が咲いていて、見るたびにきれいで、雨のなかの紫陽花と、内側からみる永井博のイラストの楽しさが心にやさしかった。

 

最初はお気に入りだったけど、段々と使わなくなり、骨の部分も折れてきたのでほとんど使わなくなって、それでも捨てる存在ではないなと思っていたのだけど。急に家にある傘がこれしかなくなって、この数日差していたら、そんな過去の記憶がしくしくと流れてきて、そろそろ新しい傘がほしいなと思った。

 

傘は、色々ある。もう会わない相手に借りてしまったりすると、手放すタイミングが自分次第になってしまって、面倒だ。みんなそうなのだろうか、私はたびたび別れられない傘が発生する。でも今手元にあるのは、自分で買った永井博の傘だけだから、ちょっと嬉しい。